ドクター・スタッフコラム
まつ毛育毛剤ビマトプロストは日本で承認されている?グラッシュビスタの効果・副作用を解説
ビマトプロストを有効成分とする「グラッシュビスタ外用液剤0.03%」は、日本で「睫毛貧毛症」の治療薬として承認されている医療用医薬品です。
化粧品のまつ毛美容液とは異なり、医師の診察と処方が必要です。
一方、同じビマトプロストを配合する「ルミガン」は、日本では緑内障・高眼圧症の治療を目的とした点眼薬であり、まつ毛を伸ばす目的の承認薬ではありません。
日本で承認されたまつ毛貧毛症治療薬を希望する場合、グラッシュビスタを選ぶことが重要です。
グラッシュビスタとは?日本で承認されたまつ毛貧毛症治療薬
グラッシュビスタの有効成分はビマトプロスト
グラッシュビスタは、有効成分としてビマトプロスト0.03%(1mL中0.3mg)を含む外用液剤です。
日本で承認されている効能・効果は「睫毛貧毛症」です。睫毛貧毛症とは、まつ毛が不足している、短い、細いなど、まつ毛が十分ではない状態を指します。
まつ毛の長さ・豊かさ・色の濃さを改善する効果があります。
処方せん医薬品のため、医師の処方に基づいて使用する薬剤です。
一般に「まつ毛育毛剤」と呼ばれていますが、医学的には単なる美容液ではありません。
- 医薬品として有効性・安全性が審査されている
- 睫毛貧毛症という適応症がある
- 医師の処方が必要
- 使用方法が定められている
- 副作用や使用できないケースがある
という点が、市販のまつ毛美容液とは大きく異なります。
グラッシュビスタは日本で初めて承認された唯一の睫毛貧毛症治療薬
グラッシュビスタは2014年3月24日に日本で承認されました。国内初・唯一の睫毛貧毛症治療薬とされています。
そのため、次のような理解は正確ではありません。
- 「ビマトプロストなら何を使っても同じ」
- 「海外製のまつ毛育毛剤でも同じ」
- 「緑内障用の点眼薬をまつ毛に塗れば同じ」
有効成分が同じでも、日本でどの目的に承認されているか、使用方法や剤形がどう設定されているかは別問題です。
ビマトプロストでまつ毛が伸びる仕組み
ビマトプロストはまつ毛の毛周期に作用する
まつ毛にも髪の毛と同じように「毛周期」があります。毛周期は大きく、次の3つに分けられます。
- 成長期:まつ毛が成長する期間
- 退行期:成長が止まる期間
- 休止期:抜け落ち、次の毛が生える準備をする期間
ビマトプロストはまつ毛の毛包に作用し、毛周期の成長期を延長することで、まつ毛の成長を促進すると考えられています。
つまり、マスカラやまつ毛エクステのように「見た目だけを長くする」のではなく、自分自身のまつ毛の成長に働きかける治療です。
「毛根がない場所に新しくまつ毛を作る薬」ではない
ここは大切なポイントです。
グラッシュビスタは、何もない場所に新しい毛包を作る治療ではありません。発毛可能な毛包が存在しない部位では有効性を期待できません。
したがって、次のようなケースでは、ビマトプロストだけで十分な改善を得られるとは限りません。
- 傷跡によって毛包そのものが失われている
- 外傷などでまつ毛の組織が大きく損傷している
- まつ毛が生えない原因が別の疾患にある
グラッシュビスタはどのくらいで効果が出る?
効果判定の目安は約4ヶ月
グラッシュビスタは、塗った翌日に急にまつ毛が長くなる薬ではありません。
国内第Ⅲ相臨床試験では、4ヶ月使用した時点で効果が評価されています。特発性睫毛貧毛症では、医師によるまつ毛評価で1段階以上改善した割合がグラッシュビスタ群77.3%、プラセボ群17.6%でした。
がん化学療法後の睫毛貧毛症では、グラッシュビスタ群88.9%、プラセボ群27.8%でした。
使用開始から約1ヶ月で変化を感じ始め、4ヶ月程度継続することで効果を実感しやすくなります。
ただし、毛周期には個人差があります。毎日正しく使用しながら経過を見ることが基本です。
使用をやめると元に戻る?
グラッシュビスタの効果は永久ではありません。
承認時の資料では、使用中止後も約1ヶ月は効果が持続するものの、その後徐々に変化し、4〜6ヶ月程度でまつ毛の長さ・豊かさ・色の濃さが使用前の状態へ戻っていくことが示されています。
維持を希望する場合は、医師の診察を受けながら継続使用を検討します。
グラッシュビスタの正しい使い方
1日1回、就寝前に上まつ毛の生え際へ塗る
承認されている用法・用量は、片眼ごとに1滴を専用アプリケータに滴下し、1日1回就寝前に上眼瞼辺縁部のまつ毛の根元へ塗布する方法です。
基本的な使用手順は次の通りです。
- メイクを落として洗顔する
- コンタクトレンズを外す
- 専用アプリケータに1滴つける
- 上まつ毛の生え際を目頭側から目尻側へ塗る
- はみ出した薬液をすぐに拭き取る
- 使用したアプリケータを捨てる
- 反対側は新しいアプリケータを使用する
下まつ毛には塗らない
グラッシュビスタは上まつ毛の生え際だけに使用します。特に次のことが定められています。
- 点眼薬として使用しない
- 下まぶたには塗らない
- 上まつ毛の生え際以外についた薬液は拭き取る
皮膚にはみ出したままにすると、色素沈着や意図しない部分の毛が濃くなる原因になります。
塗る量を増やしても早く伸びるわけではない
早く伸ばしたいからといって、1日に何度も使用したり、1回の量を増やしたりする方法は推奨されません。
塗布回数や量を増やしてもまつ毛の成長が促進されるわけではないため、1日1回を超えて使用しないよう注意が必要です。
塗り忘れた場合も、翌日に2回分をまとめて使用しません。
グラッシュビスタの副作用・リスク
ダウンタイムは基本的にないが、副作用には注意が必要
グラッシュビスタは手術や注射を行う治療ではないため、腫れや内出血を前提とした一般的な「ダウンタイム」はありません。
一方で、目元に使用する医療用医薬品である以上、副作用があります。
主な症状には、次のようなものがあります。
- まぶたの色素沈着
- まぶたのかゆみ
- まぶたの赤み
- 結膜充血
- 目のかゆみ
- 目の刺激感
- 眼脂
- ドライアイ
- まぶたの腫れ
- 意図しない部分の毛が濃くなる
まぶたの色素沈着
薬液がまつ毛の生え際以外の皮膚に触れると、眼瞼や眼周囲の色素沈着が起こることがあります。
眼瞼の色素沈着は、使用を中止することで徐々に薄くなる可能性があります。予防のためにも、液が皮膚へはみ出した場合はすぐに拭き取ることが重要です。
虹彩色素過剰
頻度は高くありませんが、虹彩の色が濃くなる「虹彩色素過剰」が重大な副作用として記載されています。
特に注意すべき点は、虹彩の色素変化は使用を中止しても元に戻らないことがあるということです。
「日本人は瞳がもともと暗いから関係ない」とは言い切れません。日本人に多い暗褐色の単色虹彩でも変化が認められています。
眼瞼溝深化で目がくぼんで見えることがある
ビマトプロストでは、眼瞼溝深化も重大な副作用として記載されています。
眼瞼溝深化とは、上まぶたの溝が深くなり、以前より目元がくぼんで見える状態です。
グラッシュビスタを使用するときのアフターケア
目元に異常が続く場合は自己判断で使い続けない
使用中に次のような異常を感じた場合は、使用を続けるのではなく医師へ相談してください。
- 目が強くしみる
- かゆみが続く
- 眼痛がある
- 見え方に変化がある
- 強い充血が続く
- まぶたが腫れる
- まぶたがくぼんできた
角膜上皮障害が生じることもあるため、しみる、かゆい、目が痛いといった症状が持続する場合は眼科医の診察が必要です。
コンタクトレンズは外してから使用する
グラッシュビスタにはベンザルコニウム塩化物が含まれており、コンタクトレンズを変色させる可能性があります。
コンタクトレンズを使用している方は、次の点に注意してください。
- 塗る前にレンズを外す
- 使用後15分以上経ってから再装着する
妊娠中・授乳中は使用前に必ず確認する
妊婦または妊娠している可能性がある女性には投与しないことが望ましいとされています。また授乳中は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して授乳継続・中止を判断するとされています。
恵聖会クリニックでは安全性を考慮し、妊娠中・授乳中の方にはグラッシュビスタを使用していません。
グラッシュビスタ・ルミガン・まつ毛美容液の違い
グラッシュビスタとルミガンは有効成分が同じですが、日本における承認目的と使用方法が異なります。
ルミガンはビマトプロストのまつ毛成長作用が発見されるきっかけとなった薬剤ですが、日本では緑内障・高眼圧症治療薬として承認されています。
| 項目 | グラッシュビスタ | ルミガン点眼液 | 市販のまつ毛美容液 |
|---|---|---|---|
| 主な位置づけ | 医療用医薬品 | 医療用医薬品 | 化粧品など |
| 主成分 | ビマトプロスト0.03% | ビマトプロスト0.03% | 製品により異なる |
| 日本での主な承認目的 | 睫毛貧毛症 | 緑内障・高眼圧症 | 医薬品としての睫毛貧毛症治療ではない |
| まつ毛への作用 | 毛周期の成長期を延長し、成長を促進 | 同成分だが、まつ毛目的では承認されていない | ハリ・コシ、保湿など製品ごとの化粧品的ケア |
| 医師の処方 | 必要 | 必要 | 基本的に不要 |
| 使用部位 | 上まつ毛の生え際 | 眼内への点眼 | 製品による |
| 医薬品としての発毛・成長効果 | 承認あり | 日本では睫毛貧毛症への承認なし | 承認なし |
| 主な注意点 | 色素沈着、眼瞼溝深化、充血など | 眼科用薬としての副作用管理が必要 | 肌荒れ、刺激など製品による |
海外製ビマトプロストの個人輸入には注意
インターネット上では、海外製のビマトプロスト製剤などが販売されていることがあります。
しかし、個人輸入された医薬品は、日本国内で流通する承認医薬品と同じように品質・有効性・安全性が確認されているとは限りません。偽造品や品質管理上の問題、副作用が起きた際の対応も考慮する必要があります。
製造販売元の患者向け情報でも個人輸入のリスクについて注意喚起されています。
グラッシュビスタのメリット・デメリット
メリット
グラッシュビスタの主なメリットは次の通りです。
- 日本で睫毛貧毛症治療薬として承認されている
- 自分自身のまつ毛の成長を促す
- まつ毛の長さだけでなく、豊かさや色の濃さの改善が期待できる
- 1日1回の外用で治療できる
- 手術や注射が必要ない
- 国内臨床試験で有効性が確認されている
- 医師の診察を受けながら使用できる
特に、エクステやマスカラで一時的に長く見せるのではなく、自分のまつ毛そのものを育てたい方に適した選択肢です。国内臨床試験でも4ヶ月時点でプラセボを上回る改善が確認されています。
デメリット
一方で、次の点は理解しておく必要があります。
- 毎日継続して塗る必要がある
- 永久的な効果ではない
- すぐに効果が現れる治療ではない
- 眼瞼色素沈着が起こることがある
- 虹彩色素過剰のリスクがある
- 眼瞼溝深化により目元がくぼんで見えることがある
- 目の充血、かゆみ、刺激感が起こることがある
- 毛包がない部分には効果を期待できない
- 医師の処方が必要
- 健康保険の給付対象ではない
グラッシュビスタは薬価基準未収載で、保険給付の対象外です。
グラッシュビスタが向いている人・慎重に判断すべき人
グラッシュビスタが向いている人
次のようなお悩みがある方は、診察のうえで適応となる可能性があります。
- まつ毛が短い
- まつ毛が細い
- まつ毛のボリュームが少ない
- 最近まつ毛が薄くなった
- 自分自身のまつ毛を育てたい
- まつ毛エクステだけに頼りたくない
使用前に慎重な判断が必要な人
以下に該当する場合は自己判断で使用せず、医師へ必ず伝えてください。
- グラッシュビスタの成分で過敏症を起こしたことがある
- 妊娠中または妊娠している可能性がある
- 授乳中
- 眼疾患の治療中
- 眼科手術を受けたことがある
- 眼内レンズが入っている
- 緑内障などで点眼薬を使用している
- まつ毛が突然抜けた
- 片側だけ極端に減っている
特にプロスタグランジン系点眼剤との併用では、眼圧への影響を考慮する必要があります。
グラッシュビスタ・ビマトプロストのよくある質問
Q1. ビマトプロストは日本で承認されていますか?
はい。ビマトプロストを有効成分とするグラッシュビスタは、日本で睫毛貧毛症治療薬として承認されています。2014年3月24日に承認され、現在も処方せん医薬品としてPMDAに掲載されています。
Q2. グラッシュビスタは本当にまつ毛が伸びますか?
睫毛貧毛症に対する有効性は国内臨床試験で確認されています。特発性睫毛貧毛症では、4ヶ月後の改善率がグラッシュビスタ群77.3%、プラセボ群17.6%でした。
Q3. グラッシュビスタとルミガンは同じですか?
有効成分はいずれもビマトプロストですが、同じ薬として扱うべきではありません。グラッシュビスタは睫毛貧毛症の治療薬として、ルミガンは緑内障・高眼圧症の治療薬として日本で承認されています。
Q4. 市販のまつ毛美容液との違いは何ですか?
グラッシュビスタは睫毛貧毛症を治療する医療用医薬品です。一般的なまつ毛美容液は化粧品としてまつ毛を保湿したり、ハリやコシを整えたりするもので、医薬品として睫毛貧毛症を治療するものではありません。
Q5. グラッシュビスタは何ヶ月使えばいいですか?
効果判定の一つの目安は4ヶ月です。国内臨床試験も4ヶ月時点で評価されています。短期間で結果を判断せず、正しく継続してください。
Q6. グラッシュビスタをやめるとまつ毛は元に戻りますか?
戻っていきます。使用を中止すると徐々に効果が失われ、承認資料では4〜6ヶ月程度で使用前の状態へ戻るとされています。
Q7. グラッシュビスタで色素沈着しますか?
色素沈着は起こり得ます。特に薬液がまつ毛の生え際以外へ付着しないよう注意してください。眼瞼色素沈着は中止後に軽減する可能性がありますが、虹彩色素過剰は中止後も残ることがあります。
Q8. グラッシュビスタで目がくぼむことはありますか?
あります。眼瞼溝深化という副作用が報告されています。目元のくぼみが気になった場合は自己判断で使い続けず、医師へ相談してください。
Q9. 下まつ毛や眉毛にも使えますか?
下まつ毛や眉毛には使用できません。承認された使用部位は上眼瞼辺縁部のまつ毛基部です。下まぶたへの使用や点眼は認められていません。
Q10. グラッシュビスタは保険適用ですか?
保険適用ではありません。薬価基準未収載で保険給付の対象外とされています。
恵聖会クリニックがまつ毛治療で大切にしていること
恵聖会クリニックでは、グラッシュビスタを単なる「まつ毛を長くする美容アイテム」として扱うのではなく、副作用を伴う医療用医薬品として適正に使用することを重視しています。
現在、グラッシュビスタを取り扱っており、まつ毛の状態や既往歴、眼科治療の有無などを確認したうえで使用をご案内しています。
使用方法についても、1日1回、専用アプリケータを使用して上まつ毛の生え際へ塗布する方法を説明しています。
2000年開院から積み重ねた診療経験
恵聖会クリニックは2000年に開院し、2026年で開院27年目を迎えます。
まつ毛だけを見るのではなく、美容皮膚科・美容外科・形成外科を含む幅広い診療経験をもとに、患者様のお悩みや目元の状態に合わせた治療をご提案しています。
恵聖会クリニックは、適正価格、豊富な症例経験、丁寧なアフターフォローを診療方針として掲げています。
必要のない治療へのアップセルを行わない
まつ毛が少なく見える原因は、すべて睫毛貧毛症とは限りません。
恵聖会クリニックでは、希望された薬をそのまま処方するのではなく、状態を確認したうえで必要性を判断します。
また、「高度な美容医療を適正価格で提供する」という方針のもと、ホームページに記載のない高額な治療へ誘導することはありません。無理・強引な勧誘をせず、内容を理解し納得いただいてから治療を始めることを大切にしています。
治療後まで相談できるアフターフォロー
グラッシュビスタは、自宅で毎日使用する治療だからこそ、開始後の経過確認が重要です。
- 「色素沈着かもしれない」
- 「まぶたがくぼんできた気がする」
- 「目がかゆい」
- 「いつまで続ければよいのか分からない」
といった不安を抱えたまま自己判断で使い続けることはおすすめできません。
恵聖会クリニックでは、施術や治療は受けたら終わりではないという考えのもと、アフターフォローを重視しています。
ご紹介で来院される患者様が多い
長年診療を続けるなかで、ご家族やご友人からの紹介で来院される患者様も多くいらっしゃいます。
「すべての方にご満足いただける医療を提供し続ける」という姿勢を大切にし、一時的な治療だけでなく、長く相談していただける美容クリニックを目指しています。
リピートや紹介で来院される患者様が多いことも、当院が診療方針を継続してきた結果だと考えています。
まとめ|日本で承認されたビマトプロスト製剤ならグラッシュビスタ
グラッシュビスタは、ビマトプロスト0.03%を有効成分とする、日本で承認された睫毛貧毛症治療薬です。医師の処方が必要な医療用医薬品で、まつ毛の毛周期に働きかけ、長さ・豊かさ・色の濃さを改善します。
一方で、まぶたの色素沈着、虹彩色素過剰、眼瞼溝深化、充血、かゆみなどの副作用があり、単なる美容液と同じ感覚で使用する薬ではありません。
大切なのは、次の点です。
- 日本で承認された薬剤を選ぶ
- 医師の診察を受ける
- 1日1回の正しい使用方法を守る
- 上まつ毛の生え際以外へ塗らない
- 副作用があれば早めに相談する
- 効果とリスクの両方を理解して継続する
グラッシュビスタについて詳しく見る
監修医情報
- 医師名
- 上尾 弘美
- 略歴
-
2016年 愛媛大学医学部卒業
卒業後、大学病院、関連市民病院にて小児科医として従事
2023年 某美容外科クリニック勤務を経て、恵聖会クリニック入職
- 所属学会
- ボトックスVST認定医
ジュビダームVST認定医
- 資格
- 小児科専門医
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