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鬼頭尚也医師ブログ
第5回:レチノールの弱点「A反応」を克服する、3種のハイブリッド処方
こんにちは。
恵聖会クリニックのなおやです。
「本気で結果を出せる、妥協なきスキンケアを作りたい」という私たち美容皮膚科クリニックの想いから生まれた「KEISEIライン」の秘密を解き明かす連載企画。
前回の第4回までは、ファーストステップである化粧水(VCローション)のビタミンCと驚異の浸透技術についてお話ししてきました。
前回(第4回)はこちら
今回はいよいよ、スキンケアの「攻め」の要となるセカンドステップ、
美容液「KEISEI レチノールセラム」にフォーカスします!!
レチノールセラム 全成分
水、DPG、グリセリン、ペンチレングリコール、ナイアシンアミド、ジグリセリン、リノール酸レチノール、水添レチノール、レチノイン酸トコフェリル、パンテノール、トコフェロール、ヒアルロン酸Na、DNA-Na、ウチワサボテン種子油、ハス胚芽エキス、オタネニンジン根エキス、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ベタイン、レシチン、水添レシチン、BG、エチルヘキサン酸セチル、カルボマー、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、PEG-32、PEG-60水添ヒマシ油、HEDTA-3Na、クエン酸Na、ベルガモット果実油、ユズ果皮油、フェノキシエタノール
美容やスキンケアに関心のある方なら、「レチノール」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
近年、エイジングケア化粧品の主役として爆発的な人気を誇る成分ですが、同時に「使ってみたいけれど、肌荒れが怖くて手が出せない…」と悩んでいる方も非常に多い、なんとも悩ましい成分でもあります。
今回は、エイジングケアの王様「レチノール」の光と影、そして、私たち恵聖会クリニックがその最大の弱点をどのように克服し、毎日使える「理想の美容液」を完成させたのか。その秘密である「3種のハイブリッド処方」について、詳しく解説していきます!
エイジングケアの王様「レチノール」の光と影
レチノールとは、生体にて利用されている必須栄養素である「ビタミンA」の一種です。美容皮膚科学の分野において、レチノールは長年、エイジングケアの王道として君臨してきました。
なぜなら、レチノールは肌に対して非常に多角的な、そして強力なアプローチをしてくれるからです。 表皮では、細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)を促進し、古くなった角質を排出することでシミやくすみを防ぎます。
そして真皮では、コラーゲンやエラスチン、さらには表皮のヒアルロン酸の生成を促し、内側から押し返すようなハリや弾力をもたらします。
さらには、皮脂の分泌を抑えることで、毛穴の詰まりやニキビの予防にも効果が期待できるのです。
まさに「美肌の万能薬」と呼ぶにふさわしい成分ですが、強力な効果の裏には、大きな影が存在します。
それが、「A反応(レチノイド反応)」と呼ばれる特有の刺激です。
レチノールを肌に塗布すると、急激に肌のターンオーバーが促進されるため、乾燥、赤み、皮剥け、ヒリヒリとした痛み、腫れといった不快な症状が出ることがあります。
これらの有害事象は、処置をせずに回復する程度の軽度なものとされていますが、毎日のスキンケアで顔が赤くなったり皮が剥けたりするのは、精神的にも大きなストレスですよね。
実際に、このA反応が辛くてレチノール化粧品の使用を断念してしまう方は後を絶ちません。
さらに、ある研究では、白人など他の人種に比べて、アジア人(日本人や中国人を含む)の肌は特にレチノイドによる刺激に敏感であり、紅斑(赤み)や落屑(皮剥け)、乾燥といったA反応の症状が強く出やすい傾向があることが報告されています。
つまり、私たち日本人にとって、一般的なレチノール化粧品をトラブルなく使いこなすのは、想像以上にハードルが高いミッションなのです。
「攻めたい、でも荒らしたくない」クリニックの最適解
「患者様にレチノールの素晴らしい恩恵を受けてほしい。しかし、毎日使うホームケアで肌をボロボロにしてしまっては本末転倒だ。」
このジレンマに対して、化粧品開発では一般的に「レチノールの濃度を極端に下げる」という手法がとられがちです。しかし、それでは刺激は出ませんが、肝心の「シワ改善」や「ハリ・ツヤの向上」といった効果も実感しにくくなってしまいます。
そこで私たち恵聖会クリニックが導き出した答えが、
「性質の異なる3種類のレチノール誘導体を絶妙なバランスで組み合わせる」 ハイブリッド処方です。
一つの強力なレチノールに頼るのではなく、マイルドに長く効くもの、他の美容効果を併せ持つものなど、3つの「レチノール誘導体」をブレンドすることで、刺激のピークを分散させながら、肌の奥で確実にビタミンAとしての効果を蓄積させていく設計にしました。
では、その「3種の神器」とも言えるレチノール誘導体たちを一つずつ見ていきましょう!!!
処方の妙!KEISEI セラムに配合された「3つのハイブリッドレチノール」
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①水添レチノール 安定・マイルドなヒアルロン酸ブースター
一つ目は「水添(すいてん)レチノール」です。
通常の純粋なレチノールは、光や熱、酸化に非常に弱く、化粧品に配合してもすぐに劣化してしまうという不安定さがあります。
そこで、レチノールに水素を添加(水添)することで、光や熱、酸化に対する安定性を飛躍的に高めたのがこの成分です。
水添レチノールは、肌への刺激が非常にマイルドでありながら、真皮の線維芽細胞に働きかけ、ヒアルロン酸の産生を強力に促進する作用を持っています。
これにより、A反応による乾燥を防ぎながら、肌にふっくらとした潤いと抗シワ効果をもたらしてくれます。
刺激を抑えるための「守り」と、潤いを生み出す「攻め」を両立した頼もしいベース成分です。 -
②レチノイン酸トコフェリル シワ改善と抗酸化の「一石二鳥」
二つ目は「レチノイン酸トコフェリル」です。
これは、シワ改善効果を持つ「レチノイン酸(ビタミンA酸)」と、非常に高い抗酸化作用を持つ「トコフェロール(天然ビタミンE)」を、エステル結合という技術でガッチリと結合させた、まさに一石二鳥のハイブリッド成分です。
レチノイン酸単体では刺激が強すぎますが、ビタミンEと結合させることで肌への刺激が劇的に緩和されます。
肌の中に浸透すると、レチノイン酸として細胞の再生(シワ改善)を促すとともに、ビタミンEとして肌の老化の原因となる活性酸素を撃退(抗酸化)します。
二つのビタミンが同時に働き、強力な抗老化効果を発揮する独自成分です。 -
③リノール酸レチノール ハリと美白を同時に叶える
三つ目は「リノール酸レチノール」です。 こちらは、抗シワ効果を持つ「レチノール」と、美白効果を持つ「リノール酸」をエステル化して結合させた成分です。
加齢とともに気になるのは、シワやたるみだけではありません。
シミやくすみも大きな悩みです。このリノール酸レチノールは、レチノール本来のコラーゲンやヒアルロン酸の産生促進作用に加え、シミの原因となるメラニンの生成を抑制する作用を併せ持っています。
一つの成分で「ハリ」と「透明感」の両方にアプローチできる、非常にマルチな才能を持ったビタミンA誘導体です。
A反応をなだめる「鎮静・修復」の豪華なサポート陣
KEISEI レチノールセラムのすごさは、これら3つのレチノールをブレンドしただけではありません。
万が一の刺激や乾燥(A反応)を先回りして防ぎ、レチノールが存分に働ける環境を整えるために、強力な「鎮静・修復サポート成分」をたっぷりと配合しています。
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●ナイアシンアミド (ビタミンB3)
肌の角質層の形成を促進し、セラミドの合成を促すことで、皮膚のバリア機能を強固に改善します。
レチノールによって一時的に揺らぎやすくなる肌を、土台からしっかりと守ります。
さらに真皮コラーゲンの産生も促進するため、レチノールとの相乗効果でシワ改善を強力に後押しします。 -
●パンテノール(ビタミンB5)
肌の中でパントテン酸に変化し、細胞の代謝を助ける成分です。
傷ついた組織の修復(肉芽組織の形成や上皮化)に優れた効果を発揮し、レチノールによるわずかな炎症やダメージを素早く鎮め、なめらかな肌へと導きます。
【結び】毎日使える「攻め」のスキンケアの完成
いかがでしたでしょうか。
「レチノールは刺激が強いから怖い」。
そんな常識を覆すために、性質と役割の異なる「水添レチノール」「レチノイン酸トコフェリル」「リノール酸レチノール」という3つの誘導体を組み合わせたハイブリッド処方。
そして、ナイアシンアミドとパンテノールによる鉄壁のバリアサポート。
これら緻密な設計によって、KEISEI レチノールセラムは、「A反応を極限まで抑えながら、ハリ、弾力、透明感というレチノール本来の絶大な効果を、毎日実感できる美容液」として完成しました。
これまでレチノール化粧品で挫折してしまった方や、敏感肌でエイジングケアを諦めていた方にこそ、ぜひ試していただきたい自信作です。毎日のケアで、少しずつ、でも確実に肌が応えてくれる喜びを味わってください。
さて、この美容液には、今回紹介したレチノール以外にも、実は「韓国の美容医療で大ブームとなっている細胞再生成分」がこっそりと、しかしたっぷりと配合されています。
次回(第6回)は、その秘密の成分である「植物性PDRN」と、肌の奥へ届けるカプセル技術「リポソーム化されたクダモノトケイソウ種子油」について深掘りしていきます!どうぞお楽しみに!
【参考資料】
本記事は以下の資料に基づき作成しています。
複数レチノール誘導体の役割分担や刺激緩和の設計をどう行うのか、という問いに役立てた資料たちです!!
直接文面に繋がらない資料もあるかもですが、レチノールとはどんなものなのか、組み合わせによりどう挙動するのかがよく理解できる論文たちなので興味があれば是非読んでみてください!!
- Song Q, et al. Chitosan/β-Glucan/Cystine Multifunctional Hydrogel Loading Retinol Liposomes for Efficiently Treating UV-Induced Skin Damage and Aging. Carbohydr Polym. 2026;373:124590.
- Narsa AC, et al. A Comprehensive Review of the Strategies to Reduce Retinoid-Induced Skin Irritation in Topical Formulation. Dermatol Res Pract. 2024;2024:5551774.
- Davis A, et al. Topical Application of Retinyl Propionate, 4-Hexylresorcinol, and Niacinamide Reverses Molecular and Clinical Features of Ageing. Int J Cosmet Sci. 2024;46:761–774.
- Wang Q, et al. The Synergistic Effect of Retinyl Propionate and Hydroxypinacolone Retinoate on Skin Aging. J Cosmet Dermatol. 2023;22:2040–2049.
- Fang Y, et al. Mitigation of Retinol-Induced Skin Irritation by Physiologic Lipids: Evidence From Patch Testing. J Cosmet Dermatol. 2024;23:2743–2749.
- Zhong J, et al. Topical Retinoids: Novel Derivatives, Nano Lipid-Based Carriers, and Combinations to Improve Chemical Instability and Skin Irritation. J Cosmet Dermatol. 2024;23:3102–3115.
- Shen Y, et al. An Innovative Serum With Retinol, Hydroxypinacolone Retinoate, Peptides, and Silybin Improves Mild Photoaged Facial Skin in Middle-Aged Chinese Women. J Cosmet Dermatol. 2026;25:e70627.